はじめまして。 私は奈良工業高等専門学校の情報工学科で助手をしています武藤武士と申します。 FreeBSDは学科の 演習室のPCに導入し、 授業や実習などで利用しています。 最新を追いかけるリスクと、授業で利用可能な安定性の両立に日々悩んでいます [1] 。
最近ではノート型のPCも安価になってきました。 大学では文系や理系を問わず入学時に購入を義務づけるところもでてきています。 ノートパソコンを購入すると, 自宅でも同じ環境で実習/実験が可能だという利点があります. 更に、IEEE802.11bやBluetoothなどの無線LAN技術が比較的安価で利用可能になってきました。
今まで、コンピュータの実習を行おうとすると、 コンピュータ室にいって行うことがほとんどでした。 コンピュータを利用する授業は増加していますので、 コンピュータ室はいつも満杯の状態です。 極端な話、全ての授業でコンピュータを使うとすれば、 コンピュータ室はクラスの数だけ必要になります。
ここで、先ほどの機器を組み合わせることを考えます。 機材を持って無線LANを教室に出前するのです。 このように考えて、 わたしたちは「おかもちくんプロジェクト」と 名付けた「どこでも無線LAN教室」実現へ向けて、いろいろ試行錯誤しています。
サーバのベースOSとしては、FreeBSDを利用します。 また、できるだけ安価にシステムを構築し、中学校や高校でも購入可能なシステムを目指しています。
今回は現在考えているシステムのおおまかな説明をさせていただきたいと思います。
普通に授業といった時、要求される機能はどのようなものでしょうか? 黒板での板書、教科書、学生のノートなどなどが考えられるでしょう。 新しい機材が導入されるからといって、 これまでの機能がなくなるということであれば、 使ってくれる人がそれだけ少なくなってしまいます。
表1-1は現在普通に行われている授業とおかもちくんを使った 「おかもち授業」との比較です。 基本的に現在授業で利用しているような機能は全て提供されていることが わかると思います。
表 1-1. おかもち授業とその他の授業との比較
通常の授業 | LAN授業 | 情報コンセント室での授業 | おかもち授業 | |
---|---|---|---|---|
教材提示 | 黒板 | 固定プロジェクタ | 携帯プロジェクタ | |
デモ | 特別な機材 | 教師用コンピュータ | ||
ビデオ上映 | 不可 | 教室のPC | 学生のPC | |
板書 | ノート | 学生のPC | ||
プログラミング環境 | なし | 教室のPC | 学生のPC | |
学生間コミュニケーション | なし | LAN | 無線LAN | |
部屋 | 教室 | コンピュータ室 | 情報コンセント室 | 教室 |
コスト | なし | 高価 | 比較的安価 | 安価 |
システムの構成は図1-1のようになります。 有線LANの部分が無線になっている以外にも、 必要な全ての機材がおかもちに詰め込まれている点が異なります。
[1] | ちなみに現状では,クライアントが4.2R,サーバが3.5.1Rです. 両者ともこの夏休みに4.3Rに変更する予定です. |