Chapter 1. UNIX入門

Table of Contents
UNIXのお話
UNIXのとっても初歩の操作
UNIXのファイル操作
プロセスとジョブ
標準入力・標準出力・標準エラー出力
エディタ(ee)の使い方
Bibliography

UNIXのお話

はじめに

1995年のインターネットブームによって、インターネットが一般の人の 流行語として用いられるようになりましたが、そのサービスを提供するための コンピュータではOSとしてUNIXがよく用いられます。

UNIXは最近のGUI [1] による操作が中心のOSに比べると、 ちょっと取っつきにくいかも知れません. しかし、あるポリシー (哲学といってもいいかもしれません)に基づいて作られたUNIXは使い込む 程にその良さがわかって来るOSです。

本稿では、UNIXの回りの話からはじめ、コマンドラインで利用する方法につ いて話したいと思います。

UNIXの生い立ち

UNIXは、AT&Tベル研究所の Ken TompsonおよびDennis Ritchieらによって、1968年に産声をあげました。 この前に、MULTICSというOSが設計・実現されており、 ここに参加していた彼らはその快適な環境を利用し続けたかったのですが、 MULTICSは巨大なOSであり、実行のための計算機資源も膨大で、 どんなコンピュータでも動くというものではありませんでした。 そこで、PDP-7という当時でも使われていなかったコンピュータを用いて、 Kenが考えていたファイルシステムの実現と、Space TravelというGAMEで遊 ぶためにUNIXが作られました。 UNIXという名前は、MULTICSという名前に対する皮肉であるといわれていま す。

その後、Kenらは文章処理システムという名目でPDP-11を手にいれて UNIXを移植しました。 この版はVersion 1と呼ばれており、文章整形ソフトのroff等が、 既に作られていました。

1973年には、これまでアセンブリでかかれていたUNIXはC言語で書き直され、 プログラミングやデバッグが容易になりました。

1976年にVersion 6が配布されると、商用であるSystem I系列と、 大学に配布されたカリフォルニア大学バークレイ校(UCB)によるBSDという 大きな二つの系統ができました。 それらは現在ではそれぞれSystem V Release 4と 4.4BSDとして利用できるようになっています。 後者の系統は、IBM PC/AT互換機で利用可能な FreeBSDやNetBSD,OpenBSDとして現在も保守されていますが、 4.4BSDはUCBによる最後のリリースになっています。

歴史を簡単に見て来ましたが、興味のある人は 文献[1]などを参照してください。

UNIXの特徴

UNIXには、以下のような特徴があります。

  • マルチタスク [2]で マルチユーザ [3] のOS。

  • 全ての資源はファイルという形で統一的に扱われる。

  • 主要な部分は一部を除きC言語で書かれており、保守や移植が容易。

  • ネットワークの機能が標準で用意されており、 ネットワークの利用が簡単。

  • 単機能なコマンドを複数組み合わせて複雑な動作を行なうための 仕組みが用意されている(ツールキットアプローチ)。

Bibliography

[1] Don Libes, Sandy Ressler, and 坂本文監訳, Life with UNIX, ASCII出版局.

[2] The UNIX Super Text(上)(下), 山口 和紀監修, 技術評論社.

[3]  UNIX FAQ LIST ( HTML version ):日本語版 .

[4] 楽しいUNIX -UNIXへの招待, 坂本文, ASCII出版局.

[5] プロフェショナルBSD, ASCII出版局.

Notes

[1]

Grafical User Interface:ボタン等によって操作が行なえるようなインターフェースです。

[2]

複数のタスク(プログラム)を同時に実行できることです。

[3]

複数の人間が同時に使えることです。