クライアントいろいろ

IRCのクライアントはportsの中には20個入っていました。 恒例(?)の星取表をTable 1-2に示します。

Table 1-2. IRCクライアントの性能評価

クライアント名portsの場所ユーザインターフェース日本語ベース[a] 備考
BitchXirc/bitchxCUI,GUI× [b] gnome 
blackenedirc/blackenedCUI×  
epic4japanese/epic4CUI  
ircIIjapanese/ircIICUI  
IRcatLiteirc/ircatliteGUIgtk+ 
kvircirc/kvircGUI×Qt 2 
nethircirc/nethircCUIPerl/p5-IRC 
ninjairc/ninjaCUI× ANSI端末カラー制御が可能
olircirc/olircGUI△-- [c] Gtk 
quircirc/quircGUI△- [d] Tcl/Tk(Cでの利用) 
roxircirc/roxircGUI[e] Tck/Tk 
scrollzirc/scrollzCUI× [f]  カラフルなクライアント
sicirc/sicCUI△--- [g]   
sircirc/sircCUI× [h] Perl 
SLircjapanese/slircCUISLangカラフルでかっこいい
tircirc/tirc?? コンパイル不能
tkircirc/tkircGUI× [i] Tcl/Tk 
xchatjapanese/xchatGUI,CUIgnome(Gtk) 
yagIRCirc/yagircGUI×+ [j] Gtk最初の一文字しか表示されない?
Zirconirc/zirconGUI[k]Tcl/Tk 
LieceなしGUIEmacsXEmacsに最適。
irchat-PJなしCUIEmacs 
Notes:
a. ライブラリや記述言語など
b. 入力可能だが自分の表示が化ける
c. the Section called 日本語で動かないソフトウエアをゴニョゴニョする in Chapter 2を参照
d. the Section called 日本語で動かないソフトウエアをゴニョゴニョする in Chapter 2を参照
e. ディレクトリ‾/.roxirc/で、ln -s /usr/local/bin/wish8.0jp .wishとしておくと日本語が利用可能
f. 入力はでき送れるが、自分で表示ができない。
g. EUCで流れているメッセージのみ表示可能
h. 入力は可能だが表示が化ける
i. wish8.0jpへの置き換えでは動作しない。
j. gui.cにハードコーディグされているフォントをいじるとよそからのEUCでのメッセージの表示は可能。
k. 本文中の変更が必要

多くのIRC網ではユーザの認証にidentプロトコル(RFC1413)を利用します。 identdsecurity/oidentdsecurity/pidentdなどがありますが、inetd組込みのidentで十分です。 動作のためには、/etc/inetd.confでコメントアウトされている以下のような設定を有効にします。 詳細はinetdのマニュアルを参照して下さい。

auth    stream  tcp     nowait  root    internal        auth -r -f -n -o UNKNOWN -t 30
	

さらに、サーバの逆引きと正引きが正しくないとつなげないサーバが多いです。 プロバイダによっては逆引きが設定されていない場合があるので、注意が必要です。

以下、有望そうなクライアントに限って説明を行います。

X-Chat(japanese/xchat)

X-Chatは、Gnomeで利用されることを考慮したIRCクライアントです(Figure 1-3)。 日本語化された版の特筆すべき点は、エラーメッセージやヘルプなどが日本語化されていることでしょう [1]。 インターフェースも良く考えられていて、初心者には一押しのクライアントです。 複数チャンネルも下のタブの選択だけで簡単に切替えられます。 CUIを利用したxchat-textもあるので、場合によって使い分けるようにすると良いでしょう。

Figure 1-3. xchatの画面

EPIC4(japanese/epic4)

EPIC4は テキストベースのシンプルなクライアントで、ktermなどの端末で利用します。 もちろん、ktermで漢字の入力を行えるようにしておく必要があります。 最近ではkinput2などを立ち上げた上で kterm -ximとして立ち上げておくのがてっとりばやいと思います。 日本語が安心して使えるのが嬉しいところです。

もともとはircII(japanese/ircII)から派生したクライアントですが、 かなり機能拡張がおこなわれており、プログラム機能などが追加されています。

IRcat-Lite(irc/ircatlite)

IRcat-Liteは 日本の方が作られているため、日本語の扱いに問題はありません。 Gtk+を使っていますが、シンプルなインターフェースになっています(Figure 1-4)。 メニューのJoinなどがまだ使えないようですがコマンド入力できますので特に問題はありません。 たまにメッセージ表示ウインドウの表示がおかしくなる場合があるようです。

Figure 1-4. IRcat-Liteの画面

Zircon(irc/zircon)

Zirconは Tcl/Tkで書かれたクライアントです(Figure 1-5)。 インストール時にでてくるダイアログの一番下のTcl/Tk Interpreterで利用するインタプリタwishを指定できますので、 /usr/local/bin/wish8.0jp と指定することで日本語の入出力が可能となります。 この時、メッセージはEUCで送られているようです。 IRCではJISでメッセージを送ることになっているところがほとんどですので、クライアントによっては表示できないと思われます。

インターフェースはチャンネル毎にウインドウが開くものになっています。 基本的にほとんどのコマンドはメニューからの選択で実行可能ですが、メッセージ入力エリアからのコマンド入力ができないのが少し不便です。

Figure 1-5. Zirconの画面

kvirc(irc/kvirc)

kvircは現時点では日本語は使えませんが、かなり見ためにかっこいいIRCクライアントです(Figure 1-6)。 Windowsアプリケーションのように、一つのWindowの中にチャンネル毎のウインドウが更に開いていく見ためをしています。 このWindowの整列などもボタン一つでできますので、単純にWindowをパカパカ開いていく方式より扱いやすいと思います。 Qt 2を使っているので日本語が通るようにするのも可能だと思われるのですが、残念ながら私の能力を越えています(^-^;)

Figure 1-6. kvircの画面

[番外編]Liece(portsなし)

LieceはemacsでIRCを利用するためのクライアントです。 Figure 1-7のように見た目に凝ったクライアントなので、XEmacsで利用するのがいいでしょう。 今回は1.4.4をインストールしました。 手順は以下のとおりです。

# tar zxvf liece-1.4.4.tar.gz
# cd liece-1.4.4
# ./configure
# make
# make install
	  
関連ファイルは/usr/local以下にインストールされます。 ‾/.emacs
(setq liece-intl-catalogue-directory "/usr/local/share/liece/po"
    liece-window-style-directory "/usr/local/share/liece/styles"
    liece-icon-directory "/usr/local/share/liece/icons")
(autoload 'liece "liece" nil t)
	  
を追加することで、M-x lieceで起動できます。 起動時につなげるIRCサーバを聞いてきますので指定してやります。 一度終了させると基本的な設定が‾/.liece/init.elに記述されます。

コマンドはメニューの選択でほとんど可能です。 更に、ショートカットを利用することもできます。

Figure 1-7. lieceの画面

[番外編]irchat(portsなし)

irchatはemacsでIRCを利用するためのクライアントです。 私の周りではこれを利用している人がほとんどです。 いろいろ派生バージョンが出ているようですが、ここではirchat-PJの23系安定バージョン(2.4.23.19)を試してみました。 インストールは、はじめに上記のサイトからtar ballを持ってきて展開します。 このディレクトリのdot.emacsにいろいろ詳しい設定方法が書いてありますが、最低限の設定は以下のようになります。

;; irchat がインストールされているディレクトリを指定.
;; site-lisp ディレクトリなら, その必要はなし.
(setq load-path (cons "/usr/home/take60/tmp/irchat-pj-2.4.23.19" load-path))
;; 普段利用するサーバ
(setq irchat-server "irc.take60.org:6667")
;; 自動ロードの設定
(autoload 'irchat "irchat" "IRC client for Emacsen." t)
	  

M-x irchatとしてirchatを起動します。 上のバッファはそのままテキスト入力エリアでIRCのコマンドは受け付けられません。 このバッファでのコマンドの入力にはM-x irchat-Command-....を利用するか、ショートカットを利用します。 例えば/joinControl-c-jなどとなります。 詳しい説明は展開したディレクトリのFAQ-about-jp23.txtを参照して下さい。 チャンネル内容の表示バッファでは/でコマンド入力になります。 /をつけずにコマンドを入力して下さい。

とりあえず、emacsを常用している人には便利かも知れませんが、xemacsでのメニューなどへの対応があまりされていないので、GUIというよりCUIのクライアントという感じです。 後でチャット内容を編集する必要がある場合は便利でしょう。

Notes

[1]

一部スラングが入っていてわかりにくいという話も…