題目 「FreeBSD PRESS 製品レビュー「Panasonic DE-U501ZP2A」 - 無停電電源装置」 著者 FreeBSD PRESS 編集部(武藤武士) 作成年月日 Thu May 22 16:46:45 2003 更新年月日 $Date: 2003/05/22 07:50:29 $ 1 Panasonic DE-U501ZP2A DE-U501ZP2Aは松下電器産業株式会社より販売されている常時商用給電方式の無停電電源装置です。29,800円(実売価格??,???〜??,???円)で販売されています。 松下電器産業株式会社では主に常時給電方式、常時インバータ給電方式、AVR付き常時商用給電の3種類の300VAから2kVAの様々なタイプのUPSを提供しています(http://www.pcc.panasonic.co.jp/p3/products/new.cfm?NUM=75)。 DE-U501ZP2Aは300W(500VA)の常時商用給電方式でクライアントコンピュータや周辺機器などを対象にした小型無停電電源装置です。サイズも小さく比較的安価で最も購入しやすいものになっています。同じクラスのDE-U501ZP1Aがインテリジェントモデルでなく自動シャットダウンに対応していないのに対して、こちらはインテリジェントモデルで制御用DSUB 9pinのケーブルやWindows用の制御ソフトも付属しています。 バックアップ時間は公開されているグラフから抜き出した数値です。必ずしも正確とは限りませんが、参考にしてください。バッテリのバックアップ時間は初期状態が満充電で周囲環境20℃の場合の目安値です。バックアップ時間は周囲の状況によって変動します。またバッテリの寿命時にはこの半分程度までバッテリ時間は減少します。 DE-U501ZP2Aにはこ以下のような特徴的な機能があります。 ・一定時間内シャットダウン待機機能 ・OSのシャットダウン時にUPSもシャットダウン ・スケジュール機能による自動停止/自動起動(Windows用モニタのみ) ・自動セーブによるファイル保護機能(Windows用モニタのみ) ・バッテリーテスト機能 ・電話回線サージ保護機能 DE-U501ZP2Aは前面にALARM/BACKUP/POWERの3つのLEDが配置されています。 2 レビュー環境 FreeBSD 4.8-Releaseにて動作確認を行いました。 DE-U501ZP2Aと上記の機材を付属のRS232Cケーブルで接続します。結線を調べたところ、特殊な形態であったため付属以外のRC232Cケーブルでは動作しないと思われます。必ず付属のRC232Cケーブルを使用してください。 OSのシャットダウン機能等を有効にするためにDE-U501ZP2A用ソフトウェアUPSMON for Linuxをダウンロードしてインストールします。 UPSMON for Linuxはhttp://www.pcmups.com.tw/filemanager/list/86/から取得します。 このソフトウエアはもともとLinux用のソフトウエアであるため、インストールする前にLinuxlatorの設定が必要です。portsからemulators/linux_baseもしくはemulators/linux_base-6をインストールし、/etc/rc.confにlinux_enable="YES"を追加して、リブートしておいてください。 インストールの方法や起動方法などの詳細はウェブサイトの"UPSmon FOR LINUX(English).doc"ファイルにあります。手引きに従ってインストールを行います。基本的に任意の場所に展開しても動作しますが、downスクリプトはupsmonと同じディレクトリになければなりませんので注意してください。 インストールが完了したら、手動でupsmonコマンドを立ち上げてUPSの動作を確認します。展開されたupsmonコマンドを表の様に3つのコマンドラインオプションを指定して実行します。UPS電源の元を抜いて「UPSMON Ac Fail 2 Seconds.」等と表示されるのを確認します。また、シャットダウンまでの時間がカウントダウンされます。ここで、第2コマンドラインオプションで指定した秒数以内に、電源を指し直すと「UPSMON POWER RESTORE!」と表示され通常運転に戻るはずです。 第3引数はシャットダウン動作を開始してから、UPSの電源を切るまでの時間です。一度シャットダウン動作に入ってしまうと、UPSの電源が回復してもUPSの電源断は行われるので注意してください。また、実際にシャットダウン動作に入ってから、downスクリプトが動作するまでに30秒ほどのディレイがありますので、第3引数は120秒以上などの若干大きめに設定しておいた方が良いでしょう。 UPSの状態確認用にはupsdispコマンドが用意されています。これは、(n)cursesベースのUPSの状態表示プログラムになっています。linux_base-6を使っている場合は、そのままで動作しますが、linux-base(7)の場合は、libncursesのバージョンが4から5に上がっているため、そのままでは動作しません。次のような作業を行うことで、動作するようになります。 upsdispを動作させると次の図のような情報が得られます。ただし、upsmonが動作していない状態では正しい情報を返さないので、注意してください。 このソフトウェアは設定ファイルなどへの自動設定は行いませんので、自分で設定を行う必要があります。動作の確認が取れたら、/etc/rc.localにupsmonを起動するスクリプトを、終了時に行う操作は/somewhere/upsmon/downに追加します。 3 レビュー 現状のFreeBSDでDE-U501ZP2Aを利用する場合、upsmonコマンドでシャットダウン開始までの保留時間と、シャットダウン開始からのUPS断時間の指定を行うことができます。また、upsdispモニタプログラムを利用することで、供給状態をモニタできるという特徴があります。 3.1 一定時間内シャットダウン待機機能 UPSのコンセントを抜くと、FreeBSDの方には「UPSMON Ac Fail 2 Seconds.」などと表示されます。この場合コマンドライン引数2で指定した時間以内にコンセントを指すと「UPSMON POWER RESTORE!」と表示されシャットダウン処理は動作しません。 シャットダウンするまで何秒待つかはupsmonへのコマンドライン引数2を変えることで設定することができます。負荷の状況などに応じて適切に変えましょう。 3.2 復電時のリブート機能 復電時のリブート機能を利用するためには、ハードウエアに制限があります。これはUPSをつながずFreeBSDのシャットダウンを行った後で、PCの電源をいったん抜いたあとにもう一度差し込んで自動的にFreeBSDが起動するハードウエアだけが対象です。 3.3 OSのシャットダウン時にUPSもシャットダウン upsmonのコマンドライン引数3で時間を設定します。 UPSのコンセントを抜いてみましょう。FreeBSDがシャットダウンしUPSの電源も落ちます。 ここで、実際のシャットダウン用スクリプトdownが起動するまでに30秒程度のディレイがありますので、実際にシャットダウンに必要な時間よりも大きめにこの値を設定しておく必要があることに注意してください。 3.4 バッテリーテスト機能 DE-U501ZP2Aの電源を入れると、バッテリーの状態によってはバッテリーテスト機能が動作します。バッテリーテスト中はバックアップランプが点滅し、ブザーが2回鳴動します。 4 レビュー〔まとめ〕 DE-U501ZP2Aは基本的にはWindowsでの動作を想定したインテリジェント無停電電源装置です。UPSとしては小型の部類に入ります。Linux用のモニターソフトウエアを利用することで、FreeBSDでも問題なく利用可能です。また、電話線のサージ除去機能も利用可能です。 一方、Windows用の制御ソフトウエアUPSmonで利用可能な全ての機能がLinux用モニタで用意されていないため、自動起動などの機能が利用できない点が残念です。なお、UPSmon for Linuxはメーカが正式に提供しているものではないため、動作に関する不都合などは自分で解決する必要があります。また、ユーザによるバッテリーの交換はできませんので、バッテリ交換時にはメーカに問い合わせる必要があります。また、過電流保護機能がヒューズ(ただし交換用の予備ヒューズが同梱されています)であることも難点でしょう。出力が2つしかないので、作業用PC用途での利用が現実的でしょう。 総合して判断すると、安価な割にUPSとしての最低限度の機能は一通りそろっているため、作業用PCなどで利用するには十分でしょう。