DE-U501ZP2Aは松下電器産業株式会社より販売されている常時商用給電方式の無停電電源装置です。29,800円(実売価格??,???〜??,???円)で販売されています。
松下電器産業株式会社では主に常時給電方式、常時インバータ給電方式、AVR付き常時商用給電の3種類の300VAから2kVAの様々なタイプのUPSを提供しています(http://www.pcc.panasonic.co.jp/p3/products/new.cfm?NUM=75)。
DE-U501ZP2Aは300W(500VA)の常時商用給電方式でクライアントコンピュータや周辺機器などを対象にした小型無停電電源装置です。サイズも小さく比較的安価で最も購入しやすいものになっています。同じクラスのDE-U501ZP1Aがインテリジェントモデルでなく自動シャットダウンに対応していないのに対して、こちらはインテリジェントモデルで制御用DSUB 9pinのケーブルやWindows用の制御ソフトも付属しています。
項目 | 内容 | 備考 |
---|---|---|
種類 | 無停電電源装置 | |
調査製品 | 松下電器産業株式会社 DE-U501ZP2A 29,800円(実売価格??,???〜??,???円) | |
運転方式 | 常時商用給電方式 | |
交流入力 層数 | 単層 | |
交流入力 電圧 | AC100V±10% | |
交流入力 最大電流 | 7A | 最大出力容量以下で使用した場合 |
交流入力 周波数 | 50Hz/60Hz±5% | |
交流入力 プラグ | 3P | |
交流出力 層数 | 単層 | |
交流出力 電圧 | AC100V±10% | AC100V入力、5A(300W)出力時 |
交流出力 最大出力電流 | 5A | 電流、電力のどちらの値も越えないこと |
交流出力 最大出力電力 | 300W | 電流、電力のどちらの値も越えないこと |
交流出力 周波数 | 50Hz/60Hz | 自動切り替え |
交流出力 波形 | 正弦波/矩形波 | 商用時/バックアップ時 |
交流出力 過負荷耐量 | 約110% 30秒間で出力停止/約130%以上で即時出力停止 | 商用時 |
交流出力 出力切換方式 | リレー | |
交流出力 出力切換時間 | 約10msec以内 | |
交流出力 コンセント | 3P×2 | |
パワースイッチOFF時の消費電力 | 5W以下 | |
蓄電池 品番 | LC-P127R2J1 × 1個 | または相当品 |
蓄電池 電圧/容量 | 12V/7.2Ah | |
蓄電池 質量 | 約2.5kg | |
蓄電池 バックアップ時間 | 約3.5分間 | 300W整流負荷、20℃時初期特性 |
蓄電池 充電時間 | 12時間 | 90%充電完了時 |
蓄電池 期待寿命 | 20℃時:約4〜5年/30℃時:約2〜2.5年 | |
ファン期待寿命 | 蓄電池と同等 | 蓄電池交換時に交換 |
入力ヒューズ | 250V/8A品 | タイムラグヒューズ |
回線サージ保護 | 電話回線対応 | |
動作周囲温度 | 5〜35℃ | 推奨周囲温度15〜25℃ |
動作周囲湿度 | 10〜90%RH | |
騒音 | 45dB以下 | A特性による本体前面1m離れた位置において |
外形寸法(幅)×(奥行き)×(高さ) | 96×256×137 | 電源コード、コネクタ等の突起部を除く |
質量 | 約3.5kg |
W | 時間[分] |
---|---|
80 | 30 |
100 | 20 |
150 | 12 |
170 | 10 |
200 | 8 |
250 | 5 |
300 | 4 |
使用環境温度 | バッテリ期待寿命 | 備考 |
---|---|---|
20℃ | 約4〜5年 | |
30℃ | 約2〜2.5年 |
バックアップ時間は公開されているグラフから抜き出した数値です。必ずしも正確とは限りませんが、参考にしてください。バッテリのバックアップ時間は初期状態が満充電で周囲環境20℃の場合の目安値です。バックアップ時間は周囲の状況によって変動します。またバッテリの寿命時にはこの半分程度までバッテリ時間は減少します。
DE-U501ZP2Aにはこ以下のような特徴的な機能があります。
DE-U501ZP2Aは前面にALARM/BACKUP/POWERの3つのLEDが配置されています。
FreeBSD 4.8-Releaseにて動作確認を行いました。
項目 | 内容 | 備考 |
---|---|---|
調査環境 | FreeBSD 4.8-Release | |
接続 | RS232C専用ケーブル | 製品に付属している |
項目 | 内容 | 備考 |
---|---|---|
CPU | digital HiNote UltraII(P5 133MHz) | |
メモリ | 40MB | |
ハードディスク | 3GB HITACHI_DK227A-41 PIO |
DE-U501ZP2Aと上記の機材を付属のRS232Cケーブルで接続します。結線を調べたところ、特殊な形態であったため付属以外のRC232Cケーブルでは動作しないと思われます。必ず付属のRC232Cケーブルを使用してください。
OSのシャットダウン機能等を有効にするためにDE-U501ZP2A用ソフトウェアUPSMON for Linuxをダウンロードしてインストールします。
UPSMON for Linuxはhttp://www.pcmups.com.tw/filemanager/list/86/から取得します。
このソフトウエアはもともとLinux用のソフトウエアであるため、インストールする前にLinuxlatorの設定が必要です。portsからemulators/linux_baseもしくはemulators/linux_base-6をインストールし、/etc/rc.confにlinux_enable="YES"を追加して、リブートしておいてください。
# cd /usr/ports/emulators/linux_base (または、linux_base-6)
# make install
# echo 'linux_enable="YES"' >> /etc/rc.conf
# reboot
インストールの方法や起動方法などの詳細はウェブサイトの"UPSmon FOR LINUX(English).doc"ファイルにあります。手引きに従ってインストールを行います。基本的に任意の場所に展開しても動作しますが、downスクリプトはupsmonと同じディレクトリになければなりませんので注意してください。
# mkdir /somewhere
# cd /somewhere
# fetch http://www.pcmups.com.tw/filemanager/list/86/upsmon.tar
# tar xvf upsmon.tar
upsmon/
upsmon/down ← シャットダウン時に使用する/bin/shスクリプト
upsmon/upsdisp ← CUIベースの監視ソフトウエア
upsmon/upsmon ← UPSモニター本体
インストールが完了したら、手動でupsmonコマンドを立ち上げてUPSの動作を確認します。展開されたupsmonコマンドを表の様に3つのコマンドラインオプションを指定して実行します。UPS電源の元を抜いて「UPSMON Ac Fail 2 Seconds.」等と表示されるのを確認します。また、シャットダウンまでの時間がカウントダウンされます。ここで、第2コマンドラインオプションで指定した秒数以内に、電源を指し直すと「UPSMON POWER RESTORE!」と表示され通常運転に戻るはずです。
第3引数はシャットダウン動作を開始してから、UPSの電源を切るまでの時間です。一度シャットダウン動作に入ってしまうと、UPSの電源が回復してもUPSの電源断は行われるので注意してください。また、実際にシャットダウン動作に入ってから、downスクリプトが動作するまでに30秒ほどのディレイがありますので、第3引数は120秒以上などの若干大きめに設定しておいた方が良いでしょう。
コマンド | 引数1 | 引数2 | 引数3 |
---|---|---|---|
upsmon | /dev/cuaa0 | TIME_SHUTDOWN_OS | TIME_SHUTDOWN_UPS |
コマンド名 | UPSをつないだシリアルデバイス | 電源断からシャットダウン開始までの時間(sec) | シャットダウン開始からUPS電源自動断までの時間(sec) |
# /somewhere/upsmon/upsmon /dev/cuaa0 60 120
Copyright(c) Powercom Co., Ltd., all rights reserved.
tty1 open errorUPSMON V0.91 program start!
UPSMON: The UPS serial port use /dev/cuaa0.
UPSMON: Ac Fail count down is seted 60 secs.
UPSMON: UPS shutdown delay time is seted 1 mins and 0 secs.
Check UPS type.....
# ←自動的にデーモン化する
UPSMON: UPS Connected!! ←UPSを認識したときに表示されるメッセージ
UPSMON Ac Fail 2 Seconds. ←UPS電源の元を抜く
UPSMON System will been shutdown after 58 seconds.
UPSMON Ac Fail 20 Seconds.
UPSMON System will been shutdown after 40 seconds.
UPSMON POWER RESTORE! ←UPS電源を再び差し込む
UPSの状態確認用にはupsdispコマンドが用意されています。これは、(n)cursesベースのUPSの状態表示プログラムになっています。linux_base-6を使っている場合は、そのままで動作しますが、linux-base(7)の場合は、libncursesのバージョンが4から5に上がっているため、そのままでは動作しません。次のような作業を行うことで、動作するようになります。
# cd /compat/linux/usr/lib
# ln -s libncurses.so.5.2 libncurses.so.4
upsdispを動作させると次の図のような情報が得られます。ただし、upsmonが動作していない状態では正しい情報を返さないので、注意してください。
UPSMON Plus For Linux V0.71
--------------------------------------------------------------------------------
NOW:Mon May 26 12:55:26 2003 |
Power Loading 0.0% |
| AC Fail count: 60
|
| Input AC Power: AC Normal
Battery Capacity 100.0% |
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>> | Battery Status: Normal
|
| Avr Status: Normal
|
AC Input Voltage 100.8V | UPS Status: Normal
>>>>>>>>>>>>>>> |
| Output Freq.: 60.1Hz
|
| Line Freq.: 60.1Hz
AC Output Voltage 100.8V |
>>>>>>>>>>>>>>> | Serial Port: /dev/cuaa0
|
| Comm. Status: Conn.
|
|
このソフトウェアは設定ファイルなどへの自動設定は行いませんので、自分で設定を行う必要があります。動作の確認が取れたら、/etc/rc.localにupsmonを起動するスクリプトを、終了時に行う操作は/somewhere/upsmon/downに追加します。
#!/bin/sh
if [ -f /somewhere/upsmon/upsmon ]; then
/somewhere/upsmon/upsmon /dev/cuaa0 60 120
fi
現状のFreeBSDでDE-U501ZP2Aを利用する場合、upsmonコマンドでシャットダウン開始までの保留時間と、シャットダウン開始からのUPS断時間の指定を行うことができます。また、upsdispモニタプログラムを利用することで、供給状態をモニタできるという特徴があります。
UPSのコンセントを抜くと、FreeBSDの方には「UPSMON Ac Fail 2 Seconds.」などと表示されます。この場合コマンドライン引数2で指定した時間以内にコンセントを指すと「UPSMON POWER RESTORE!」と表示されシャットダウン処理は動作しません。
シャットダウンするまで何秒待つかはupsmonへのコマンドライン引数2を変えることで設定することができます。負荷の状況などに応じて適切に変えましょう。
復電時のリブート機能を利用するためには、ハードウエアに制限があります。これはUPSをつながずFreeBSDのシャットダウンを行った後で、PCの電源をいったん抜いたあとにもう一度差し込んで自動的にFreeBSDが起動するハードウエアだけが対象です。
upsmonのコマンドライン引数3で時間を設定します。
UPSのコンセントを抜いてみましょう。FreeBSDがシャットダウンしUPSの電源も落ちます。
ここで、実際のシャットダウン用スクリプトdownが起動するまでに30秒程度のディレイがありますので、実際にシャットダウンに必要な時間よりも大きめにこの値を設定しておく必要があることに注意してください。
DE-U501ZP2Aの電源を入れると、バッテリーの状態によってはバッテリーテスト機能が動作します。バッテリーテスト中はバックアップランプが点滅し、ブザーが2回鳴動します。
DE-U501ZP2Aは基本的にはWindowsでの動作を想定したインテリジェント無停電電源装置です。UPSとしては小型の部類に入ります。Linux用のモニターソフトウエアを利用することで、FreeBSDでも問題なく利用可能です。また、電話線のサージ除去機能も利用可能です。
一方、Windows用の制御ソフトウエアUPSmonで利用可能な全ての機能がLinux用モニタで用意されていないため、自動起動などの機能が利用できない点が残念です。なお、UPSmon for Linuxはメーカが正式に提供しているものではないため、動作に関する不都合などは自分で解決する必要があります。また、ユーザによるバッテリーの交換はできませんので、バッテリ交換時にはメーカに問い合わせる必要があります。また、過電流保護機能がヒューズ(ただし交換用の予備ヒューズが同梱されています)であることも難点でしょう。出力が2つしかないので、作業用PC用途での利用が現実的でしょう。
総合して判断すると、安価な割にUPSとしての最低限度の機能は一通りそろっているため、作業用PCなどで利用するには十分でしょう。