ports名: /usr/ports/japanese/iv
package名: ja-iv-3.1_1
起動コマンド: idraw
10年程昔のことです。 UNIXには適当なDraw toolが無く、その作業だけMac等を利用して作業をせざるを 得なかったり、Postscriptという言語を用いて力業でグラフや図などを 作成していた時代がありました。 ここに、X11用のツールキットとしてInterviewsというC++言語ベースの ツールキットがスタンフォード大学から世に出されました。 この中には、当時としては相当使えるDrawツールである idrawというプログラムが含まれていました。 その後、日本語化および独自拡張がほどこされた kdrawというプログラムが公開され、 しばらく使われていた時代もありました。 現在のFreeBSD portsには、ツールキットから日本語化されたバージョンの Interviewsがjapaneseカテゴリに含まれています [1]。
このInterviewsのidrawから継続して開発が続いている ivtools (http://www.ivtools.org/)もありますが、 こちらはまだ日本語での利用はできないようです。
筆者はTgifも使ってみたことがある [2]のですが、 普段使っているのは断然idrawの方です。 これは、以下のような理由からです。
データファイルがPostscriptのファイル一つだけである。
Tgifは.objファイルから変換などが必要なため、 重要な場面に更新されてないデータを突っ込んで悲しかったことがあります [3]。 データ形式としてはPostscriptになっていますが、 idrawの図形データはコメント(%)部分に入るように なっており、プログラムではここのみを参照しています。
Tgifのユーザインタフェースがどうも手に馴染まない。
まあ、これは慣れの問題が大きいかと思いますが、 Mac Drawあたりから自然に移行できたのが大きかったと思います。
ja-idrawをパッケージやportからインストールします。
環境変数PATH
に
/usr/local/interviews/binを追加し、
rehashなどをするのを
忘れないでください。
以下のようにすれば良いでしょう。
[sh系の場合] % export PATH=${PATH}:/usr/local/interviews/bin [csh系の場合] % setenv PATH ${PATH}:/usr/local/interviews/bin % rehashあとは、コマンドラインからidrawを起動させるだけです (図1)。
デフォルトの設定では、フォントの数や線種、 色の数が少ないと感じるかも知れません。 その場合は、 /usr/local/interviews/lib/all/app-defaults/idraw や、man idrawを参考にして、 .Xdefaultsや.Xresourcesに 自分が使う設定を追加すれば良いでしょう(図2)。 フォントの設定で注意が必要な点は、マニュアルには記述されていないのですが 日本語と英語をうまく同時に出すためのcomposite fontの設定も必要なことです。 ここでは、もう少し大きいフォントを足してみました。 デフォルトの日本語フォントは、fixedフォントを利用しており、 画面表示が汚いため東風フォントを指定し、 画面表示を改良してみました。 最後の2行は、背景色の追加です。 RGBの値で指定するか、色名で指定します。 後者の場合は、/usr/X11R6/lib/X11/rgb.txtを 参照すれば利用可能な色名が分かります。
図 2. idrawのリソース設定例
--------------------------------------------- idraw.font16: Courier-Bold-Gothic-34 Courier-Bold-Gothic 34 *compositeFont16: Courier-Bold-Gothic-34 \ -adobe-courier-bold-r-normal--34-240-100-100-m-200-iso8859-1 \ -kochi-gothic-medium-r-normal--34-240-100-100-c-200-jisx0208.1983-0 \ b idraw.bgcolor13: DarkBlue 25 25 112 idraw.bgcolor14: SkyBlue SkyBlue ---------------------------------------------
基本的に一般的なDraw系ツールによくあるGUIのインターフェースなので、 迷うことは無いと思います。 各ボタンやメニューの右側にアルファベットが書かれている場合は、 それがその機能に対するショートカットキーですので、覚えておくと便利でしょう。 最近のWindowsなどで共通に使われるものと似ていますが、 Ctrlは使わない点に注意してください。 このため、「文字列」で文字入力時にショートカットを利用する場合は、 Escで文字入力を解除した上で使う必要があります。
操作に関する主な注意点は以下の通りです。
多角形や折れ線などの連続して点を入力する必要がある図形は、 マウスの中ボタンで描画を終了します。
他の操作を行っている場合でも、 「移動」に関してはマウスの中ボタンで代用可能です。
複数のオブジェクトの「選択」には、 Shift-マウスの左クリック か、 領域を広げて複数のオブジェクトを囲みます。
「構造」メニューの「グループ化」などをうまく活用しましょう。
デフォルトでは用紙はA4縦置きですが、 「ビュー」メニューの「A4縦<->A4横」で 見た目は変えることができます。 ただし、これは見た目が変わっているだけなので、 「文字列」はあくまでもA4縦の状態で入力になりますので、 後で「編集」メニューの「90度回転(左回り)」で回転する必要があります。
筆者は回転するのが面倒なので、 一度書いた文字列をコピーし「更新」して再利用しています。
問題点としては以下のようなものがあげられます。
機能が少ない。
流石に、メンテナンスが終了してから長い時間が立っているソフトウエアだけに、 最近の多機能なソフトウエアに比べると見劣りする感は否めません。
完全なWYSIWYGと思ってはいけない。
一見WYSIWYGの様ですが、 画面の表示に使われているフォントと印刷に使われている フォントの大きさの違いなどから位置の微調整が必要になったり、 グリッドのサイズを変更していると困った事になったり等の問題もあります。 これは、X上で利用するフォントを微調整したりすることで解決することも 可能です。 デフォルトの設定も必ずしもWYSIWYGであると思わない方が良いでしょう。
[1] | 当り前ですが、オリジナル版はportsのx11-toolkitsカテゴリにあります。 |
[2] | 正確には年に一度の年賀状ではTgifを必ず使っています。 |
[3] | 単に、例えLaTeXを使うときでもMakefileを 書く習慣がなかったせいだとも言います;-) |