虫(BUG)にまつわるEtCeTeRa 第0x00回:BUGをつくろう!!(実際のBUG作成) はじめに 前回から大分あいてしまって申し訳ありません。 本来はこの連載はある地方都市 ご推察の通り奈良近辺です。 で地域系BUGを作成していき、 その過程で起る色々なことを取り扱っていこうということで企画されました。 しかし、筆者の転職などなどの理由から、 奈良近辺でのBUG作成はいっこうに進まず、 第0x00回でアナウンスして総会を行い、 第0x01回で総会の話を書くというプロットが 全く実現できないまま今日まで来てしまいました。 幸いにもというか、偶然にも筆者は最近別のBUGの設立準備のお手伝いをして、 一当事者の立場になりましたので、 こちらに関して報告することで第0x00回とさせていただきたいと思います。 もちろんこちらに関してもまだ作成されていないBUGと筆者は認識していますので、 まあプロットの線に問題は無いかと思います。 ひとつ注意していただきたいのは、 筆者は当事者として関わっていますので、 あくまで筆者の視点としての記事になっており、 客観性を幾分欠いている可能性があります。 そのへんは差し引いて読んでください。 また、当該BUG作成過程のメーリングリストの過去ログは、 メーリングリストに登録することで参照できますので、 疑問に思った方はこれをご利用下さい。 ケーススタディ:高専BUG はじまりは飲み話 そもそもの高専BUGを作ろうとなったきっかけは、 桐山先生と飲んだり、メールで話をしている時に欲しいねぇということから です。 当時は私も奈良高専の教官でしたので、 FreeBSDで計算機室を運用するためのノウハウを共有したいという教官としての 動機が主体でした。 高専と言えども計算機室は既にWindowsで構築されているところが大部分で、 奈良高専でも全学科の共用の計算機センターはWindowsで構築されています。 また、その次となるとLinuxを選ぶところが多いようで、 FreeBSDは日陰者の存在です。 ただでさえマイナーな高専で、更にマイナーなFreeBSDとなると、 積極的に情報交換したいという気持になってきます。 もちろん、users-jpなどを使ってもいいのでしょうが、 高専の計算機室環境の話をやる場とはとうてい思えません。 そんなわけで、飲む度にとりあえずいつかは作ろうねということで、 数年が経過したわけです。 またもやアナウンスは突然に 筆者がふと思い立って、桐山先生と一緒にやっているOpenEduプロジェクトの メーリングリストで、高専BUGのアナウンス案を流しました。 筆者としてはたたき台のつもりだったのですが、 桐山先生がannounce-jpに投稿したことで、 発起人の少なくとも一人である私の心の準備もメーリングリストの準備さえも できていない状況で、高専BUGの設立フェーズに入ることになりました。 announce-jpメーリングリストの996(6月15日)に当初のアナウンスがありますが、 メーリングリストの参加方法が書いていないなどかなり問題のあるもので、 設立準備メーリングリスト(以下、準備ML)のメンバーからの指摘もあり、 再度1002(6月24日)として出し直すことになりました。 会議は踊る まとめ役の大失敗 アナウンスの出し直しなどや、 またBUGとしては興味はないが高専というキーワードに興味を持ったという方 への対応などで、 準備MLの当初段階では非常に混乱した状態になりました。 ここで、「高専というキーワード」で準備MLに参加された方が、 「提案者が目的とすることは尊重するべき」(CTBUG 55 メーリングリストアーカイブでの記事番号。 )という意見を言われてしまったため、 筆者は可能な限り取りまとめ役として動こうとし、 自分の思っていたことを極力出さないように努めました。 これが、筆者の意見が見えないということになってしまい、 更に混乱を招いてしまったようです。 また、取りまとめ役として動こうとしていたことに関しても、 「それは全然成功していませんね。」(CTBUG 140)という 手厳しいご意見をいただきました。 失敗続きの中でも、大失敗だったと思うのは、 メーリングリストには参加していないが、 十分高専BUGに関わる資格を持っている友人の意見(CTBUG 115)を匿名として 紹介したことです。 これは、単に名称に関わる意見だったのですが、 「極端な話匿名希望で表に出ない意見を取り入れている余裕があるならそうしてください」(CTBUG 119) のような反発を招いてしまいました。 この友人とは、アナウンスを見た直後に、直接メールで考えていることを 話していたのですが、 彼の考えている「高専BUGという名称で行う活動」と、 筆者が思っているものおよび、その時点までの議論の内容は食い違いがあり、 参加しても仕方がないという決意をされ、 結局準備MLに参加されなかったという経緯があります。 彼の意見を許可を得てまとめたものは、(CTBUG 124)にありますが、 高専生の特性と、分散する必要の無いコミュニティを分散させてしまう デメリットなどについては非常に共感できる部分でした。 ここでの教訓は以下のようになります。 提案者が思っていることを言わないと、結構みんな困る。 議論は可能な限りオープンにすべし。 急いで作る?ゆっくり作る? 高専BUG自体を急いで作るか、ゆっくり作るかも問題になった点です。 筆者としては、できてすぐつぶれるぐらいなら 準備でどうせ話題も無くなるだろうから、 準備MLで雑談をしながら様子を見ようと思っていました。 が、当初の混乱期にまずは組織を作ってから、全てはそれからという意見が 出てきたため、雑談がしにくい雰囲気が形成されてしまったように思います。 当時、筆者は体調不良や身内の不幸などが重なっていたため、 メールに対応できず、一度作られた空気はその後も消えること無く残った様に 感じています。 現に、一般の話題をしても良いようにしようと言う提案が一応通ったような 状態になっても、話題は全然流れない状態でした。 この時点で、一般の話題をするメーリングリストは設立準備MLとは分けて、 議論が分割できるように運用した方が良かったのではと思います。 急いで作ろうという意見は、早く作らないと情熱が続かないというのが 主たる理由のようでした。 しかし、筆者も高専の教官/学生ともに経験していますので、 学校というところは長期の休みぐらいしか暇が無いのは分かっていました。 一応、急いで作ろう派の8月31日までに作成するという目標は夏休み期間なので、 なんとかなるかとも思いましたが、 現役教官からは学会や高専大会などもあってそれほど余裕が無いのが現実でした。 この時も体調を崩していたため、筆者には作成段階までまとめきれませんでした。 意思決定プロセス そもそも、複数の人間で何か物事を決めようとする時には 意思の決定プロセスが必須になります。 この辺りも、よく考えてなかったため、 「意思決定プロセスを決定するため意思決定という無限退行」 という嫌な事態になってしまいました。 幸い、いくつかの意思決定プロセス案が出され、 この中で適当な方法を選択することで、 当面の意思決定を行う方法を明確化しました。 しかし、明確化したにもかかわらず、 提案が提案と明らかに分かる形で提示されないということで、 提案されているのか雑談なのか分かりにくかったことも 多々あったように筆者には感じられました。 責任の所在 組織を運営していくからには、責任の所在は明確にしておく必要があります。 特に、イベントなどでは事故が起る可能性がありますので、 このあたりを曖昧にして責任のある会長などの役になっていただいた場合、 その方に多大な迷惑をかけてしまう可能性があります。 「高専」は中学卒業後の15歳から20歳までの高校+短大に相当する本科生と、 更に2年間勉強をし大学学士が取得可能な専攻科生からなっています。 つまり、未成年が含まれるため懇親会などでは特に注意する必要があります。 また、地理的に分散していることから、遠方からBOFに参加する場合など、 往復の事故などの可能性も増えるでしょう。 どこまでが責任なのかは微妙ですが、 少なくとも裁判になるだけでも責任者にあたえるダメージははかりしれません。 そんなことを考えていたちょうどそのころ、 Networld+Interop 2002のBSD BOFで「主催」とは何かという議論が起りました。 この時には、全国の様々なBUGが「主催」という形で参加したのですが、 人的リソースの提供度合いの違いなどで、 かなりBUGによって作業量も異なっていました。 更に、まさに責任の所在関係の話もあり、 イベント運営に慣れた方々はやはり気を使っているなと思いました。 また、後日K*BUGの運営委員会メーリングリストでも 関西オープンソース+フリーウェア2002 () の共催に関して 前会長から責任を引き受けることが必要かという意見がありました。 会則作成 組織の責任者や会員資格を明確化するために、会則は欠かせません。 また、総会などで行う会計報告や新規責任者はここで決めておかなければ、 責任者の交替などができなくなってしまいます。 高専の場合、全国に散らばっていますので、 総会も地域BUGなどのように集まって行う形は難しいと思います。 したがって、総会の形式としてオンラインのものも認める会則で ないとほとんど総意をとる方法が無いと考えられます。 とりあえず、 BSD ユーザーズグループ連合 () の参加組織一覧からたどれるBUGの中で、 一番詳細に会則を決めていると思われるDEBUGの会則を参考に、 これまでの議論をまとめた形で会則案を作成しました(CTBUG 200)。 これは、大きな会則で不要な部分は削れるが、 小さなものからはじめて欠落があると困ると考えたからです。 これも、まだ空白になっている箇所が多々あるため、 これから埋めていく必要があると思います。 まだ見ぬ夜明け 2002年11月10日現在で、まだ高専BUGは作成されていません。 この時期から、12月の師走、年が明けて学年末となると、 最短で作れても2003年3月にはもつれ込むだろうなと筆者は考えています。 おわりに 次回は 高専BUGがめでたく出来ていればこれに関して、 まだ出来ていないようであれば 奈良高専で行ってきたBUGイベントに関して書きたいと思います。 お詫びと訂正 前回(No.9)の記事中で BSD ユーザーズグループ連合に関して、 階層構造の上位団体であるかのような記述を行ってしまいました。 これは、事実とは異なり、 実際にはBUGの連合体であり、親睦を目的とした団体であり、 上位/下位の関係にはありません。 また、これに関連して本文中の図は適切でありませんので の様に訂正させていただきます。
の図を利用してください。
ご迷惑をおかけしましたBSD ユーザーズグループ連合関係者および その他の方に対して、訂正してお詫びします。